入れ歯の種類 TYPE

入れ歯は「多様な選択肢」
から選ぶ時代へ
THE TIME HAS COME TO CHOOSE DENTURES

失われた歯の見た目と機能を補う「義歯(ぎし)」の一種が入れ歯です。その歴史は古く、江戸時代にはすでにツゲの木で作られていたといわれています。当時の構造と現代の入れ歯には驚くほど共通点もありますが、現在では技術や素材が飛躍的に進歩し、より自然な装着感や機能性を実現しています。

入れ歯といっても、その種類や特徴は実にさまざまです。保険診療か自費診療で製作するかだけでなく、使われる素材や構造、見た目の自然さ、噛み心地などによって、選べる幅は大きく広がっています。自分に合った入れ歯を見つけるには、それぞれの特徴や違いを理解することが大切です。

保険と自費の入れ歯の比較

入れ歯には、保険診療と自費診療の2種類があります。これらは費用だけでなく、使用する素材、製作過程、機能性、見た目、そして長期的な安定性に大きな違いがあります。

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保険の入れ歯自費の入れ歯
素材

歯科用プラスチック
(レジン)

チタン、コバルトクロム、
ゴールドなどの金属、
シリコンなど選択肢が多い

厚み・違和感

厚みがあり違和感を
感じやすい

薄くて丈夫で装着感が自然

食事

熱が伝わりにくく
食事の温度を感じづらい

熱伝導性に優れる素材の
選択可能
温度が伝わり、味覚が自然

見た目

金属バネが見えることが
あり、
目立ちやすい

ノンクラスプ(歯茎と同じ色)

目立ちにくいタイプが
選択できる

耐久性

破損しやすく
変形も起こりやすい

耐久性に優れ長持ち

作り直し

制限あり
(6ヶ月以内不可)

柔軟な対応可
(保証期間あり)

清潔さ

傷がつきやすく汚れが
付着しやすい

汚れが付着しにくい

メンテナンス

半年ごとの通院を推奨

半年ごとの通院を推奨

保険の入れ歯と自費の入れ歯では製作工程も異なります。保険の入れ歯は製作工程が少なく費用も抑えられますが、自費の入れ歯は、製作に倍以上の工程と時間、そして高精度な機器と熟練した技工士の技術を要するため、費用は高額になります。しかし、この手間と技術が患者様に適合する入れ歯づくりにつながります。

HOW TO REPAIR A LOST TOOTH? 失った歯をどう治す?
入れ歯とインプラントの違いとは?

入歯を失った際の治療方法には「入れ歯」と「インプラント」があり、それぞれ特徴が異なります。複数の治療方法を理解したうえで、ご自身の状態やご希望に合った選択を行うことが重要です。

入れ歯

入れ歯は、人工の歯と歯ぐきが一体となった装置をお口に装着することで、失われた歯の機能を補います。取り外しができるため、清掃しやすく衛生的で、外科手術を必要としない治療法です。体力的に手術に不安がある方や全身疾患を抱える方にも適しており、特に高齢の方にとって負担の少ない選択肢です。

メリット

外科処置が不要で身体への負担が少ない。複数の歯をまとめて補える。

デメリット

固定力が弱いため噛む力は天然歯に比べて劣ることがある。使用中にズレや外れを感じる場合がある。

インプラント

インプラントは、顎の骨に金属製の人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を固定する治療法です。天然歯に近い噛み心地が得られる一方で、外科的な処置が必要となります。

メリット

固定力が高く、しっかり噛める。見た目も自然に仕上がりやすい。

デメリット

手術が必要で、全身の健康状態によっては適応外となることがある。治療期間が長くなる場合がある。

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入れ歯インプラント
手術の有無

不要

外科手術が必要

費用

比較的抑えられる

高額になる傾向

治療期間

短期間

数ヶ月〜1年程度

顎の骨への影響

骨吸収のリスクあり

骨に力が加わるため吸収が
抑えられる

メンテナンス

取り外して清掃可能

定期的な専門メンテナンス
が必要

それぞれのメリットを
組み合わせた治療

最近では、インプラントを支えにして入れ歯を安定させる「オーバーデンチャー」や「オールオン6・オールオン8」など、双方の特徴を活かした治療法も選ばれています。

部分入れ歯と総入れ歯に
ついて
PARTIAL AND COMPLETE DENTURES

入れ歯は、大きく「部分入れ歯(局部床義歯)」と「総入れ歯(全部床義歯)」の2つに分けられます。それぞれ、歯の残存状況に応じて選択されます。

部分入れ歯

歯が1本だけ失われた場合から、1本だけ歯が残っている場合まで幅広く対応できる義歯です。自分の歯が残っていることを活かし、その歯に金属のバネ(クラスプ)を引っかけて固定します。比較的短期間で製作が可能で、清掃や調整もしやすい点がメリットです。
一方で、クラスプが見えることがあり、見た目を重視する方にはノンクラスプタイプが推奨されます。

主な構造
床(しょう)

人工歯を支える土台。主にプラスチックで作られます。

人工歯

失った歯の代わりとして、見た目や噛む力を補います。

クラスプ(バネ)

残った歯に引っ掛けて入れ歯を固定します。

レスト

咬合力を分散し、クラスプと連動して安定性を高める小さな支えです。

総入れ歯

上下いずれか、または両方の歯をすべて失った方に向けた義歯です。残っている歯がないため、クラスプでの固定は行えません。その代わりに、「床」と呼ばれる大きな土台が歯ぐき全体に密着し、粘膜との吸着力で入れ歯を安定させます。

吸着の良し悪しは入れ歯の精度や口腔内の形状によって左右されるため、細やかな調整が重要です。必要に応じてインプラントを用いた「オーバーデンチャー」などの方法で固定性を高める選択もあります。

主な構造

口腔内にフィットするように広く設計され、入れ歯全体の安定性を支えます。

人工歯

本来の歯の機能と見た目を補います。

TYPE 当院で取り扱っている
入れ歯の種類

金属床義歯

入れ歯の土台部分(床)が金属でできている義歯です。保険適用のプラスチック製の入れ歯と比べて、薄く作製できるのが大きな特徴です。コバルトクロム、チタン、ゴールドなどの金属が使用されます。機能性と強度、使用感のバランスに優れており、日常生活に支障が少ないため当院推奨の入れ歯です。

  • メリット

    • 薄くて装着感が良い 強度が高いため、入れ歯を薄く作ることができ、お口の中での違和感が少なくなる

    • 熱が伝わりやすい 食べ物や飲み物の温度を歯茎に伝えやすいため、食事の本来の味や温度感をより感じられ、より自然な食事を楽しめる

    • 丈夫で長持ちする 耐久性に優れており、割れにくく変形しにくいので、長期間使用できる

    • 衛生的 表面が滑らかで汚れが付着しにくく、清潔を保ちやすい

  • デメリット

    • 費用が高い 保険適用外となるため、費用は高額になる傾向

    • 金属アレルギーのリスク 使用する金属によっては、金属アレルギーを引き起こす可能性がある、事前検査推奨

    • 修理が難しい場合がある 非常に丈夫な分、修理や調整が複雑になることがある

金属床+
ノンクラスプデンチャー

従来の入れ歯にみられる金属のバネ(クラスプ)を使用しない部分入れ歯です。金属床義歯とノンクラスプデンチャーの利点を組み合わせた入れ歯で特殊な樹脂で義歯を固定するため、機能性を保ちつつ見た目が自然で目立ちにくいのが特徴です。

  • メリット

    • 見た目が自然 金属のバネがないため、入れ歯であることが気づかれにくい

    • 残存歯への負担が少ない 弾力性のある素材でお口にフィットしやすいため、残っている歯に過度な負担をかけにくい

    • 軽くて違和感が少ない 薄く、しなやかな素材でできているため、装着時の異物感が少ない

  • デメリット

    • 費用が高い 保険適用外の治療となるため、費用は高額になる傾向

    • 耐久性に限りがある 特殊な樹脂は、金属に比べて摩耗や変形が生じやすい場合がある

    • 修理が難しい場合がある 素材の特性上、修理が困難なケースもある

    • 金属アレルギーのリスク 床に使用する金属によっては、金属アレルギーを引き起こす可能性がある、事前検査推奨

    • 適応症例が限られる 歯の欠損状態によっては、適用できない場合がある

オーバーデンチャー

残っている歯の根やインプラントを支えとして装着する、取り外し式の総入れ歯です。入れ歯を安定させ、よりしっかりと噛めるようになるのが特徴です。

  • メリット

    • 入れ歯の安定性が高い 残っている歯根やインプラントが支えとなるため、入れ歯がズレたり外れたりするのを防ぐ

    • 噛む力が向上する 最小限のインプラント治療で口全体の入れ歯に対応でき、安定性が高まる、従来の入れ歯よりも噛む力が向上し、食事を楽しみやすくなる

    • 顎の骨の吸収を抑える 歯根やインプラントが骨に力を伝えるため、顎の骨が痩せるのを抑制する効果が期待できる

    • 違和感が少ない 顎の骨にしっかり固定されるため、入れ歯の動きが少なく、違和感が軽減される

  • デメリット

    • 治療期間が長くなることがある 歯根の処置やインプラント手術が必要な場合、治療期間が長くなる傾向

    • 費用が高い 保険適用外の治療であり、インプラントを併用する場合はさらに費用がかかる

    • 残っている歯へのケアが必要 歯根を残す場合、虫歯や歯周病のリスクがあるため、丁寧な口腔ケアと定期的なメンテナンスが重要

    • 全ての症例に適用できるわけではない 歯根や顎の骨の状態によっては、治療が難しい場合がある

マグネットデンチャー

残っている歯の根やインプラントに磁性金属を埋め込み、入れ歯側には小型の磁石を組み込むことで、磁力によって入れ歯を固定する治療法です。

  • メリット

    • 着脱が簡単 磁力で固定されるため、入れ歯の取り外しが非常に簡単で、ご自身でのお手入れも容易

    • 見た目が自然 金属のバネが見えないため、入れ歯だと気づかれにくい

    • 安定性が高い 磁石の力でしっかりと固定されるため、食事や会話の際にずれにくく、安定感がある

    • 残っている歯への負担が少ない 歯根に垂直方向の力が加わるため、無理な力がかかりにくい

  • デメリット

    • 費用が高い 保険適用外となる場合が多く、費用は高額になる傾向

    • 歯根が必要 入れ歯を支えるための歯根、またはインプラントが必要

    • MRI検査への影響 強力な磁場を使用するMRI検査を受ける際には、入れ歯を取り外す必要がある場合がある

    • 磁気アレルギーのリスク ごく稀に磁気アレルギーの可能性がある

コーヌスクローネ

残っている歯に二重構造の被せ物(内冠と外冠)を装着し、その外冠に連結した入れ歯を被せることで固定する部分入れ歯です。金属のバネを使わないため、見た目が自然で安定性が高いのが特徴です。

  • メリット

    • 高い安定性 二重構造の冠でしっかりと固定されるため、入れ歯が外れにくく、安定して噛める

    • 見た目が自然 金属のバネが見えないため、入れ歯であることが気づかれにくい

    • 残存歯への負担が少ない 力を分散させる構造のため、残っている歯に過度な負担がかかりにくい

    • メンテナンスが比較的容易 入れ歯の修理や調整がしやすい構造

    • 清潔を保ちやすい 取り外しができるため、お手入れがしやすい

  • デメリット

    • 費用が高い 保険適用外の治療となるため、費用は高額になる傾向

    • 土台となる歯を削る必要がある 二重構造の冠を装着するため、健康な歯を削る必要がある

    • 製作に高度な技術が必要 精密な作製が求められるため、対応できる歯科医院が限られる

    • 歯をすべて失った場合には適用できない 残存歯が複数本ある場合に適用可能な治療法

どの種類の入れ歯が適しているかは、患者様の口腔内の状態や残っている歯の状況、生活スタイルやご予算などのご希望によって異なります。まずは歯科医師と相談し、ご自身に合った治療法を見つけることが大切です。

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